フランス人の口から、「あのマヌカンは首のすわりが悪いから……」といった言葉をこれまで何度か耳にしたことがあります。なるほど女性誌に登場するデコルテ特集を見ると、「顔とデコルテの部分は、いつも完璧に一体化していないと美しくありません」という鉄則がお決まりのように目につきます。どんなに素晴らしいメークが施されていても、貧相に首が前に傾いていたり、両肩をすぼめていたのでは、すべて台無しになってしまいます。バレリーナのように背骨をまっすぐにし、両肩はリラックスさせ、誇らしげに首をきゅっと伸ばす、あるいは、鶴のように楚々として。この姿勢は、まるで天井から吊るされた一本の糸のように、まっすぐな線になることが理想です。でもこの完璧な姿勢を保ちながら、美しく歩くとなると、もう至難の業です。パリジェンヌといえば、ハイヒールでも胸を張って堂々と歩く、あの美しい姿を思い浮かべがちですが、一方で小股で足早に、お尻をプリプリさせてせっかちに歩く女性が、まだたくさんいるのも事実です。本来、フランス女性のプロポーションは「娼婦のお尻」「短い脚」「丸い腕」「なだらかな肩」といみじくもコレット女史が、自分の身体を描写したように、決して完成されたものではありません。そこでパリジェンヌは、せめて上半身だけは、完璧に見せることにこだわります。フランス語では、腕のことを、「上等なほうの四肢」といい、脚のことは「劣ったほうの四肢」といいます。美的感覚のすぐれた民族が使うこの言葉は、彼らの見方を正直に物語っています。彼らにとって美しくしなければならない部分は、上半身です。