最高裁昭和60年5月23日判決(金融法務事情1099号12頁)も、抵当権の実行による競落代金の配当について、代位弁済者は債権者に劣後する、と判示し、少なくとも権利行使の結果については、債権者にとっての不祁合は解消した。しかし、代位弁済者が単独で競売申立てをすることができるか否かについては、今後に残された問題である。抵当不動産について発行された抵当証券に基づいて不動産競売の申立てをする場合には、執行裁判所に抵当証券を提出しなければならない。
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ところで、抵当証券が発行される場合は、通常被担保債権の分割が行なわれ、分割された價権ごとに弁済期が定められ、抵当証券に記載されるばかりでなく、登記事項ともなっている(不動産登記法)。したがって、弁済期の到来した分割債権のみを被担保債権として不動産競売の申立てをすることに問題はないが、抵当証券および登記に記載された弁済期が到来していない分割債権につき、「金銭消北貸借および抵当権設定契約証(抵当証券発行特約付)」の失権約款により期限の利益が喪失し弁済期が到来したとして、不動産競売の申立てをすることには問題がある。この点について、大阪高裁昭和61年3月27日決定(金融法務事情1146号39頁)は、抵当証券および登記上の弁済期は未到来であるが、失権約款の期限喪失事由の発生により弁済期が到来したことを理由に抵当権者が不動産競売の申立てをした事案につき、「抵当証券発行の定めのある場合において、元本又は利息の弁済期を定めるときは、これを登記の記載事項としており(不動産登記法5条2項)、抵当証券の発行のあった場合においては抵当権の変更は不動産登記法の定めるところに従いその登記をなし、かつ抵当証券の記載を変更しなければこれをもって第三者に対抗することができない」として、競売申立ては不適法とした。